京都の”誇りの木”が枯れたワケ

昨日、9月3日のネットニュースでこんな記事がありました。

道路工事のために移植した”樹齢370年の「誇りの木」”・・・完全に枯れて、幹には亀裂が 京都市

 

概要としては、

道路工事のために場所を移動したエノキの大木が枯れたというもの。

樹齢が約370歳というから、すごく大きい木だったんだろうな。その木が移植後に枯れてしまったなんて、とても残念です。

しかも、住民の方々が「残したい」と声を上げたと書いてあるから、大切にされていたんでしょう。

このエノキは何故枯れてしまったんでしょうか?

記事の中で樹木医さんが言っているように、高齢で移植に耐えられなかったに尽きると思います。

 

高齢の木が移植にたえられなかった理由

では、何故年寄りの木だと移植に耐えられないのでしょうか。

木の根は水や栄養を求めて、土の中でどんどん伸びていきます。コンクリートなどの障害物がなければ、見えている葉っぱの幅より広がっている事が多いです。

さらに根は太さで役割が違います。

太くて硬い根は、体を支えるための物。その先っぽに伸びる細くて柔らかい根で水を吸います

その柔らかい根も月日が経つと樹皮に覆われ硬くなります。そして、大きく重くなる地上部を支えるのです。

 

樹木の根 イラスト 細根

上のイラストの細い根が水を吸収する部分(青色)。その上の太い根は体を支える役割をはたしています。

 

さて、こうして広がった根を持つ大木を移植する時は、大抵運べる大きさで根っこを切って移動させます

しかし、太い場所で根を切ると先端の水を吸う根がなくなります。そのため、移植の一年前に根を切り取る場所に新しい根を出させる作業を行います。

これを根回しといいます。日常でもよく使う、お馴染みの言葉です。

根回し イラスト 木の根

移植の数年前に赤色部分で環状剥皮をおこないます。

水は上へ移動できるが、葉でできた養分は赤色部分で止まるという処理です。

そうすると、赤色部分に新しい細い根がでてきます。その間も今までの根から水を吸収できているので水不足になることはありません。

赤色部分にたくさん細い根が出てくると、今まで先端で吸収していた量と同じ位の水が赤色部分にできた根ですえるようになります。

そうして新しい根だけで十分に木を支える量の水を確保できる状態にして初めて、場所を移動する事ができるのです。

 

今回は、必要な処理をしたと書いてありましたので、ここまでは上手くいったんだと思います。

 

根回し期間中は、古い根も体に水を運びます。しかし、移植時に古い根は切り取られ、新しく出た根のみで生きていく事になります。

その後は、いかに早く新しい根を伸ばし体を維持できる水や栄養を吸収できるようになるかが生き残るカギです。

動物と一緒で、若い程成長が早く、生きるために必要なエネルギーも少なくてすみます。

このエノキのおじいちゃんはガンバったけど、持ちこたえる事が出来なかったんだと思います。

 

移植は樹木にとって負担が大きい行為ということを知っておこう

私達造園屋も、移植には枯れた際の補償はつけません。

どんなに完璧に作業を終えたと思っても、枯れてしまう事が多々あるからです。今回のように。

本来、根を下ろしたら生涯をその場所で生きる樹木。

そんな彼らには、私達の想像以上に【移動】は負担が大きいのでしょう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です