造園用語からみる言葉から伝わる先人の樹木への愛

各業界にはそれぞれ、『業界用語』という独特な言い回しが数多くあります。

造園業でも同じです。あたりまえですが、樹木に関する言葉が多くあります。

その中には庭師さんの樹木に対する愛情を感じるものが多く存在します。

それらの表現と その意味をお伝えしましょう。

1. 造園用語「枝を降ろす」

木漏れ日 巨木 枝張り

大きな枝を切る時に使う表現です。

 

枝を“切る”という言葉は基本使いません。

理由としては、”切る”という言葉は忌み語といって、昔は縁起の悪い言葉でした。

忌み語を避けるのは良くあったことで、スルメ→アタリメと変えた事は有名な話しですね。

個人的な考えですが、枝を切るという木に大きな負担のかかる作業をできるだけ縁起良くするためにも「降ろす」という痛そうじゃない言葉にしたのかなと感じます。

もう一つ、大枝剪定は今でも危険を伴う作業なので、無事に作業を終えるコトを祈願する意味でも忌み語を避けたのかもしれません。

それが今でも続いていて、枝は降ろすもので切るものではないのです。

 

2.造園用語「木が風邪を引く」

ブルドック 熱 イメージ画

クスノキなど冬でも葉を落とさない常緑樹は暖かい地方の樹木です。

そのため寒いのは苦手。

剪定の最適時期は落葉樹は葉を落としている冬場ですが、常緑樹の剪定的時期は6月頃の暖かい頃です。

 

では冬にバッサリ葉を切ってしまったらどうなるか。

枝や幹をおおって寒さから守ってくれていたモコモコの葉っぱがなくなると、冷たい北風にさらされた枝の先端が寒さで枯れていきます。

葉もなくなり、先端の細い枝は枯れて茶色に。その姿はボロボロ

 

そんな寒さでやられた状態を「木が風邪をひいた」と言います。

良く言うのは「この寒い時期にバッサリ切ると木が風邪をひくから気をつけろよ。」ですかね。

樹木を擬人化して表現するこの言葉は、私のお気に入りです。

 

 

3.造園用語「木が怒る」

怒る イメージ

プンスカプンスカ。あまりに理不尽な扱いを受けると、さすがに木も怒ります。

どんな状態をそう呼ぶか。

めちゃくちゃに切られたあとに起こる木の反応を『木が怒る』と呼びます

 

樹木は葉に光を浴びることで生きていく栄養を作ります。それが光合成

大きくなるために沢山の枝葉をつけて、せっせと栄養を作っています。

その葉が急に激減するとどうなるか。栄養が作れなくなり、生命の危機です。

 

“庭や玄関先の木が大きくなりすぎたから、バッサリ切ってほしい”

“できるだけ短くしたい。”

そんなお客様のご要望にお答えして強剪定をした場合、木は葉がほとんどなくなります。

樹木としては、このままでは生命維持ができなくなる死活問題です。

 

緊急事態発生!!早く栄養生産工場(葉)を作らなければ。

何とかして、なくなった分に近づく数を作らなければ!!

 

そうしてバッサリ切られた樹木は、切られた場所からたくさんの細い枝を長く伸ばし葉を広げます。

樹形も何もありません。そんなもの気にしている場合ではないからです。

 

そんな木は大量の細い枝が四方に伸び、強剪定をしたのにも関わらずボサボサに逆戻り

加えて樹形が悪くなっていて、さてこれからどう作り直していくか。。という感じになります。

樹形を作るのに数年は必要で、その間はボサボサのビョンビョン枝を我慢するしかありません。

 

人間の都合でバッサリ切る→ボサボサに大爆発

こんな状態を「木が怒る」と言います。

 

木への負担が大きい剪定で木はやめてほしいと思っていると、昔の庭師さんもわかっていたんですね。

 

昔の庭師さんの樹木への愛情は世界イチ

これらの言葉をみると、樹木を擬人化した表現をつかい1つの同じ生き物として向き合っていた感じがしません?

 

自然風に見せる剪定や、自然の流れを再現した池や滝。

自然そのものを愛するように進んできた日本の造園技術はスバラシイし、樹木への愛情を感じます。

 

造園の大先生は今でも自然そのものです。

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